PROFILE

「劇団巡会」

「劇団巡会」は、山口県山口市を拠点に活動する劇団です。

この劇団は、「表現が好きだけど一歩踏み出せない」「興味はあるけどきっかけがない」「演劇って難しそう...」 という思いを抱えた人たちの手を引いて「まず、とにかくやってみよう!」という場所を作りたいという考えから発足されました。




代表挨拶 


「巡会(じゅんかい)」

私は、2021年春に大学進学のため福岡県北九州市から山口にやって来ました。いきなりですが、少し私事にお付き合い下さい。
北九州市で生まれ育ち、幼い頃から母の影響もあって舞台鑑賞が大好きだった私は、誰に言うことも出来ませんが、密かに自分も舞台に立ってみたいと思っていました。
しかし、なかなか一歩を踏み出せないまま高校生になり、もどかしい日々を送っていたら1年経ち、そのまま2年生になりました。そんな私が、高校の演劇部に入る決断をしたのは2年生になって2ヶ月程経ってからです。
ある先生の何気ない一言が私の胸に刺さりました。とても苦しかったです。辛かったです。しかし、その苦しみが少し和らいだ頃、これは変わるチャンスではないかと思いました。ここで変わらなければ、今後いったいどこで変われるんだと思いました。そこで真っ先に思いついた変わるための手段、それが演劇でした。
こうしてイレギュラーなタイミングで演劇部に入った私は、すぐに舞台をつくる魅力に取り憑かれていきました。そして、少しでも多くの人に演劇の楽しさを知って欲しい、演劇を一緒にやりたいと思うようになり、友人に演劇の話を振ることも増えていきました。しかし、そうしているうちに演劇にほとんど触れたことがないという人が多いことに気付きました。
それをどうにかしたいというのが、私の気持ちです。そして、そのためには演劇を珍しいものではなく身近に感じてもらい、挑戦しやすくする必要があると考えました。しかし、その要素を兼ね備えた場所などあるのだろうか。いくら考えても、納得のいく答えは出ませんでした。ならば、自分で作ろう。我ながら突拍子もない考えだとは思いましたが、これが1番しっくりきたのです。
こうして、野望を抱えたまま山口にやって来たわけですが、知り合いもほとんどおらず、山口の演劇界も知らない私はまた躊躇するのです。
野望は野望のままであり、野望でしかない。そう思って、1度は既存の劇団を探し入団しました。そこでは、短期間でとても濃い経験をしました。演劇をすることに対する意識も変化しました。しかし、そこで芝居に触れれば触れるほど野望への思いは膨らんでいきました。そして、少し誰かにこの野望を聞いてもらいたいと思いました。
そこで、自主活動を支援する活動を行っている方に話しに行きました。野望に関して初耳状態の友人を引き連れて。すると、その方は熱心に聞いて下さり応援の言葉をくださいました。前向きな気持ちになってその場を後にすると、驚いたことに隣で聞いていた友人も以前から興味があったのだと話してくれました。その瞬間、私はやると決めました。そして、その日の夜、この劇団名を思いつきました。
私は、ずっとこのスタート地点に立ちたいと願っていました。自分がこれがしたいということは分かっていました。しかし、本当にすることになるとは思っていませんでした。野望が野望ではなくなる日が来るとは想像もしていませんでした。
私一人では野望のままで終わっていたであろうこのスタート地点に、今私が立てているのは、最後の一押しとなった友人から遡って、山口に来てから出会った全ての方々、高校で出会った仲間や先生、小中でものづくりの楽しさを経験させてくださった先生や一緒に経験した仲間との出会いがあったからです。この全てが揃っていたから、今の私はここにいます。
そんなことを考えていたら「巡り会わせ」という言葉が浮かんできました。そして、なんとなく漢字が良かったので「巡会」です。読み方は「じゅんあい」とも迷いましたが、小っ恥ずかしいので「じゅんかい」です。
演劇をやることは、確かにハードルが高いと感じるかもしれません。過去の私がそうだったように。しかし、そのハードルを越えた先には、越えた人しか見ることの出来ない景色があります。
少しでもその景色を見てみたいと思ったら、「そこまで言うなら見せてみろ!」と思ったら、その場でいいので手を少しだけ挙げてください。劇団巡会がその手を取りに行きます。
                                   劇団巡会 代表 井上なお